初夏の東京国立博物館でうつわ

東京はさすがに美術館が多くあります。うつわの展示が見れる美術館といえば、この2つ以外にも畠山記念館・三井記念美術館・泉屋博古館・根津美術館・サントリー美術館・五島美術館・静嘉堂文庫美術館・国立近代美術館・戸栗美術館・石洞美術館・日本民藝館・・・

ただ今回行った7月はうつわ関係の展示をやっているところは出光美術館の唐三彩、東京国立博物館の青磁・やちむん特集くらいでした。時間があれば出光も、と思っていましたが東博だけで開館時間が終わってしまいました。ここは書や工芸・彫像のある東洋館だけでも1日いれるくらいの所蔵量と展示量がすごいですね。福岡も九州国立博物館があり、瞠目する美術品もありますが東博にはかないません。なにより東博のほうは所蔵品が多いので写真が撮れるのも勉強になります。

さて2019年初夏の青磁特集は「中国の青磁-蒐集と研究の軌跡」と題さ、東博の青磁から選りすぐりのものが並んだ展示でした。展示室の1角だけの特集展示だったので点数は多くありませんでしたが、それぞれの時代・生産地を象徴させようと選ばれているだけあり、 1つ1つの特徴が異なり、かつ質の高いものばかりでした。これまで見たことがなかったものもあり見に行く価値が高かったです。

下は439年からの150年間をさす南北朝時代につくられた連弁紋盤。繕い痕が見えますがキャプションのとおり完成度が高く、これを見れるのが奇跡的です。

青磁連弁紋盤
青磁連弁紋盤

下は清の時代に作られた「天藍釉罍(らい)形瓶」。天藍釉(てんらんゆう)というのは知らなかったのですが、キャプションを読むかぎりでは清の時代に過去の青磁を再現するために開発された釉の一つのようです。宋の時代のをまねようとしているようですが、宋時代の似たようなものは見たことがなく、日本ではこの手の青磁はあまりうけなかったのかもしれません。青みがっかた失透が美しく、顔料を加えていると推測されているそうです。

天藍釉罍形瓶
天藍釉罍形瓶

その他にもさすがの名品が並んでいました。この2つ以外のものが数点東博のブログにも紹介されています。


https://www.tnm.jp/modules/rblog/index.php/1/2019/05/14/中国の青磁/

ただ、展示予定だった東山御物としても名高い馬蝗絆(ばこうはん)は出ていませんでした。どこかへ貸し出していたのでしょうか。馬蝗絆はまた見る機会あると思いますが、この並びの中で見て他のとの比較をしてみたかったです。

この青磁展をしていた東洋館の地下1階は東南アジアの焼き物が展示されています。特に今のカンボジアであるクメールは、その黒褐の釉と形の焼き物はいつみてもいいなと思います。

黒褐釉劃花文瓶(こっかつゆうかっかもんへい)
黒褐釉劃花文瓶
褐釉合子
褐釉合子

下は今まで見た記憶のなかった16世紀ベトナムの五彩草花文綾花皿。個人蔵とあったので見れる機会が少ないものかもしれません。 凝ってはいますが素朴さのまさる嫌味のないうつわです。

五彩草花文綾花皿
五彩草花文綾花皿

そして本館の方ではもう1つの特集やちむん展。本館の回廊状に並ぶ展示室の中には沖縄の部屋もありますが、今回はやちむんだけで1室。金城氏に代表される魚紋や今よく見かける水玉・草花模様のイメージがあるやちむんですが、ここで紹介されていたものは私のやちむん観が覆るような上質の作品が集まっていました。このチェーカー(茶家、酒家)と呼ばれる注器は、形や釉におおらかさがありますが丹念につくられたのもわかる質の高さがあります。

チェーカー
チェーカー

東博・本館には常設のうつわが見れる場所として、1階の陶磁器エリア、2階の茶道具のエリアがあります。今回は高取の水指、仁清の水指がよかったと記憶して帰りました。

褐釉耳付水指
高取焼 内ヶ磯窯 褐釉耳付水指

17世紀中ごろに活躍した名工・仁清の平水指は、その器体も薄手で技量の高さがわかるということですが、やはりこの形に仕上げるセンス、釉薬の色味と掛け方にも出るセンス、それが仁清の作品を優れたものにしていると思います。

仁清 平水指
野々村仁清 瀬戸釉平水指